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骨折で入院してきたひなたちゃん。『怖い。ちゃんと治るかな。また走れるようになるかな。』

骨折で入院してきたひなたちゃん。『怖い。ちゃんと治るかな。また走れるようになるかな。』

ありがとう。看護師と患者の物語。31話。骨折で入院してきたひなたちゃん。「怖い。ちゃんと治るかな。また走れるようになるかな。」手術をとても怖がって泣いていた彼女と、偶然にも一年後に再会。「中崎さんに憧れて、看護科のある学校に行こうと思っています。」

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中学1年生の柏木ひなたちゃんが骨折で入院してきた時の話です。
手術目的の入院でした。私はひなたちゃんを受け持つことになったのです。

まずは距離を縮めようと沢山お喋りし、会話を重ね、ひなたちゃんも私に対し敬語を使うことなくラフな関係になることができました。

ー手術2日前ー
朝、病室に行くと、あまり元気がない様子のひなたちゃん。
私「おはよう!あれ?あんまり眠れなかった?」
ひなたちゃん「うん…。やっぱり手術が怖くて…」
私「そおだよね。怖いよね。」

と、ひなたちゃんさんの気持ちに寄り添うこと、不安を取り除き軽減させるためにはどうすれば良いかを必死に考え、その時はとにかく側にいることにしました。

勤務終了後に病室で一緒に遊んだり、音楽を聞いたり、真面目な話も恋愛のお話もたくさんしました。

ー手術前日ー
ひなたちゃん「明日だ。怖い。ちゃんと治るかな。また走れるようになるかな。」
と、ひなたちゃんは不安だらけでした。

私はとにかく励まし、安心するような声かけ、手術について話たり、側にいることしかできませんでした。

ー手術当日ー
ひなたちゃんは怖くて朝から泣いていたとの申し送りがありました。私はすぐに訪室しました。

ひなたちゃん「怖い。けど、行ってくるね。筆者さんがたくさん話きいてくれたからちょっと
勇気出たんだ。ありがとう。」

私「そう?よかった!!手術がんばってね!!私、ここで待ってるからね!」

手術は無事成功、その後のリハビリも順調に進み、術後1週間程度で退院しました。

それから約1年後、同じように骨折で入院した40代女性の柏木さんを受け持つことになりました。

柏木さんとひなたちゃんが同じ苗字で、顔つきもなんとなく似ていましたが、まさか親子?
とは思いつつ、そんなことは無いと考えながら業務にあたっていました。その時、面会者から話しかけられました。

面会者さん「柏木さんの病室はどこですか」
私「301号室です。」

面会者さん「ありがとうございます。ところで、私のこと、見覚えありませんか」
私「えーっと…。どこかでお会いしましたっけ?すみません。お名前お伺いしてもよろし
いでしょうか」

面会者さん「ひなたです。1年前くらいに骨折してここで入院してました。中崎さん。」

私「あ!もしかして!あの時の!ひなたちゃん?大きくなったね!!元気?あれ?てことは、柏木さんはお母さん?」

ひなたちゃん「はい。そうです。家族揃ってお世話になります。」
私「そうだったんだ!すっかり大人になって可愛くなったね!病室まで案内するよ!」

ー次の日ー
私「柏木さん、おはようございます。1年前、骨折で入院していたひなたちゃんのお母さんだったんですね。これも何かの縁ですね。」

柏木さん「そうですね。家族揃ってお恥ずかしいかぎりです。よろしくお願いします」

私「とんでもないです。こちらこそよろしくお願いします。ひなたちゃん、1年前よりしっかりしてて、可愛らしいお嬢さんに変身してらっしゃったので、最初は分からなかったです」

柏木さん「あの子ね、ここで入院して手術してから変わったのよ。退院してから中崎さんのことすごく憧れるようになって、娘も看護師になる!中崎さんみたいな看護師になる!ってずーっと言ってるの」

私「そうなんですか!とても嬉しいです」

お世辞であろうが嘘であろうが、その一言にとても救われました。私はまだまだ看護師の
道を極めていこうと決めました。

すると突然、
ひなたちゃん「お母さん!余計なこと言わないでよ!」
柏木さん「ごめんね〜。ついつい。」

私「看護師になりたいって、本当なの?」
ひなたちゃん「はい。本当です。手術の時、ずーっと側にいてくれて、話し相手になってくれて、すごく嬉しかったんです。だから、私も同じような患者さんを救いたいなぁって思って。看護科のある高校に行こうと思ってます」

私「そおなんだ!同じ職の仲間が増えて嬉しい。がんばろうね!」
ひなたちゃん「ありがとうございます」

私のやってきた看護は間違えていなかったのかもしれない、私は私なりの看護を突き進め
ばいい、それでいいのかな、と思った1日でした。

今、ひなたちゃんはどうしているのか分かりませんが、きっと素敵な看護師になっていることだろうと考えながら、人の人生を変える、憧れの人になれる、看護師という職業に誇りをもって毎日奮闘しています。

イラストレーター紹介

イラストレーターのオカ サヤカと申します。
温かいイラストで、皆さまの素敵なエピソードを彩ることができていたら幸いです。
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