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看護師の私を待つために『何度も呼吸止まりかけたんですけど、持ち直して頑張っていたんですよ』

看護師の私を待つために『何度も呼吸止まりかけたんですけど、持ち直して頑張っていたんですよ』

「ありがとう。看護師と患者の物語」9話。以前、お話させていただいた施設に入所中の妻に会いに行った患者さんの話の続きです。奥さんに会ってからの患者さんは、みるみるうちに状態が悪くなっていきました。まるで奥さんに会えて、心残りがなくなったかのように。

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7話でご紹介させていただいた、施設に入所中の妻に会いに行った患者さんの話の続きです。
奥さんに会ってから患者さんは、みるみるうちに状態が悪くなっていきました。

まるで奥さんに会えて、心残りがなくなったかのように。

この患者さんはとても無口な人で、看護師はもちろん家族とも会話が少なく、
そんな患者さんを入院当初から受け持っていた私でさえ、あまり会話がありませんでした。

奥さんに会いに行ってから5日間、私は長い休暇をもらっていたため、患者さんの状態が悪くなっていることを同期からメールで知らされていました。

休暇中も患者さんのことが心配で、早く病棟に行きたいと思っていました。

休暇が明けた日勤、私はいつもより早く出勤しましたが、私は(もう患者さんはいないかもしれない)と思っていました。

しかし、ベッドマップを見ると、患者さんの名前がありました。

急いで病室へ向かうと、
患者さんにはベッドサイドモニターと、流量10ℓで酸素マスクがつけられていました。

患者さんはもう目も開けられず、やっと呼吸をしている状態。
ご家族も全員揃っていました。

息子

「佐藤さんおはようございます。
あの無口な父が、佐藤さん最近来ないなって、言ってたんですよ。
母に会いに行けたのがとても嬉しかったみたいです。

父はずっと佐藤さんを待っていました。
何度も呼吸止まりかけたんですけど、持ち直して頑張っていたんですよ。」



「そうだったんですね。」

その言葉を聞いて、涙を抑えることができませんでした。

私はもう聞こえていないであろう患者さんに話しかけました。


「佐藤ですよ。待っててくれてありがとうございます。お顔が見れて嬉しいです。」

そう話しかけると、患者さんは、ひとつ大きな呼吸をして、そのまま息を引き取りました。

看護師である以上、平等な看護をしなくてはいけないかもしれません。
ですが、今でも私にとって忘れられない患者さんとのお話です。

いつまでも忘れなません。

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