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命がけで産んだ我が子を抱くことができないまま・・・『亡くなられた患者さんのことを思うと今でも胸が張り裂けそうです・・・』

命がけで産んだ我が子を抱くことができないまま・・・『亡くなられた患者さんのことを思うと今でも胸が張り裂けそうです・・・』

ありがとう。看護師と患者の物語。42話。産婦人科に勤めていた時のことです。二人目の出産のために来院された30代の山寺さん。無事に女の子を出産しましたが、山寺さんの出血が止まらず・・・

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産婦人科病棟に勤めていたときのお話です。
30代の山寺さんは2人目の出産で来院されました。2人目とあり落ち着いての出産でした。
出産には義理のお母さんと旦那さんが付き添われました。

無事に女の子が誕生し、ご本人ご家族も喜ばれた中、山寺さんの出血が止まらず輸血しても改善されなかったため急遽大学病院へ搬送されました。

医師「今からB病院へ搬送します。看護師1名とご主人が同行してください。」
家族「わかりました。早く運んでください。お願いします。」

ご主人とともに、山寺さんを搬送しました。まだ意識があった山寺さんは、「早く赤ちゃん抱きたいです。」とおっしゃいました。

しかし、これが山寺さんの最後の言葉となってしまいた。

山寺さんは、搬送途中に意識を失い搬送先の病院でも出血が止まらず、私とご主人はただ待ち合い室で過ごしました。

看護師「ご主人、大丈夫ですか?」
ご主人「大丈夫です。嫁が頑張って心臓マッサージうけてますし…」

ガクガク震えながらご主人は、扉の向こうで懸命な処置を受けている山寺さんを見つめ続けていました。

しかし、山寺さんは懸命な処置の甲斐なく・・・

医師「ご主人、これ以上蘇生を続けてももう…」
ご主人「…わかりました。」

山寺さんは意識取り戻すことなく亡くなられました。赤ちゃんを抱くことなく亡くなりました。

ご主人「子供と両親になんて話せば…真理子、なんでだよ…」と、呟き山寺さんのご遺体に向かわれました。

ご主人はその後山寺さんのご遺体とともに退院されました。
出産をして子供を抱けるのは当たり前ではありません。子供を産むことに当たり前はなく、人それぞれの出産があります。どの出産も命がけです。

その命がけで産んだ我が子を抱けず、亡くなられた山寺さんの思いを考えると今も胸が張り裂けそうです。

イラストレーター紹介

イラストレーターのオカ サヤカと申します。
温かいイラストで、皆さまの素敵なエピソードを彩ることができていたら幸いです。
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