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長年連れ添った妻との別れ『私が年上なものですから、まさか家内が先に逝くとは・・・』

長年連れ添った妻との別れ『私が年上なものですから、まさか家内が先に逝くとは・・・』

『看護師と患者と涙』63話。長年連れ添ったパートナーを失う現実を受け入れることは容易ではありません。奥様が旅立つ最後の日まで毎日病室に通い続けたご主人。あの日の光景は今でも忘れることができません・・・

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看護師と患者と涙
未告知の末期がんで入院している70代の女性の長澤さん。余命2ヶ月と診断されているにも関わらず、「いつもありがとう」「忙しいのにごめんなさいね」と、医療者を気遣ってくれるとてもお優しい方でした。
そんな長澤さんのもとには、一見難しそうなご主人が毎日お見舞いにきていました。口数の多くないご主人でしたが、「今日はどうだ?」「気分はいいのか?」と長澤さんを気遣う姿に私たちも癒されていました。
長澤さんは末期がんとは思えないほどしっかりしていました。食事もご自身で召し上がり、お手洗いもご自身で行ってました。ある日、長澤の状態がひとまず落ち着いたタイミングを見計って、帰宅することになりました。帰宅の話が出てからご主人とお話する機械がありました。
「ご主人こんにちは。もう直ぐ長澤さんとご自宅に帰れますね」「何か気になることや心配なことがあればおっしゃってくださいね」「あ・・・あありがとうございます」
「・・・ご心配ですか?」「う、うーん」「帰れることになったけれど、良くなったというわけではないでしょう?歩いたり食べたりしてるから、なんというか実感がわかなくてね 全部何かの間違いだったらいいのにね」ご主人はぽつりぽつりと話してくれました
その後退院直前の長澤さんとお話する機会がありました。「入院には慣れているのだけれどね、今回はなんとなくもう帰れないんじゃないかと感じていたの ふふ、自宅に戻ることができて安心だわ」これまでと同じように自宅で生活できると、心を踊らせる長澤さんに、私は何と答えていいかわからず「そうですね・・・」と笑顔で返答することが精いっぱいでした。
数週間後・・・長澤さんは病棟に戻ってきました。これまで通り私たちを気遣ってくれる長澤さんでしたが、食欲は落ち、ぼーっとしている時間が増えました。相変わらずご主人は毎日お見舞いに通ってくださいました。「ご主人、毎日通ってくださってありがとうございます ご主人も休める時に休んでくださいね」
「ありがとうございます でも少しでも何かしてやりたいんですよ・・・いよいよだなって、本当に病気だったんだと、今になって分かりました」「私の方が年上なものですから、まさか家内が先にいくことになるとは思わなかったものですから」ご主人の目にはうっすら涙が溜まっていました。
翌月、家族に見守られながら長澤さんは旅立ちました。長澤さんが旅立ったとき、ご主人は長澤さんの手を握りながら絞りだすように「ありがとう、ありがとうな・・・!」といったご主人の目からは堪えきれない涙が流れていました。ご主人は長澤さんの旅立つ最後の日まで毎日病室に足を運んでいました。
長い間連れ添ったパートナーを失う現実を受け入れることは容易ではありません。それでも、ご主人は亡くなる時まで毎日長澤さんと向き合い続けました。長澤さんが亡くなった日のご主人の涙にどれだけの想いが詰まっていたのか、その光景は今でも忘れられません。

【感動する実話】祖父のエンゼルケア「おじいちゃん、ごめんね」

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