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最期の言葉『いつもありがとう』

最期の言葉『いつもありがとう』

「ありがとう。看護師と患者の物語」6話。実習時代に出会った患者さんとの忘れられないお話。連絡先を交換するなんてあり得ないと言われるかもしれません。ですが私はルールや先入観に縛られない、暖かみのある看護をしていきたいです。

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看護学生時代に出会った忘れられない患者さん。

10歳のゆうきくん。

小さい頃心臓の病気で手術し、輸血後にC型肝炎となり、食道静脈瘤からの出血で入院していました。

幼少期から病気とともに生き、年齢より大人びた小児患者さんが多い中、ゆうきくんは良い意味で普通の男の子でした。

安静度を守らず師長さんに叱られたり、わがままを言って若い看護師さんを困らせたり…。

当然、ゆうきくんは看護学生には人気がありません。
ところが、私がそのゆうきくんの担当をすることに。

当時私は21歳。
卒業を翌年に控えて一通りの看護技術は学び、実習もそつなくこなしていました。

やんちゃなゆうきくんに引きずられないよう、冷静に対応しようと決めました。

私「ゆうきくん、足浴しようか。」
ゆうきくん「うん、いいよ。」

C型肝炎のゆうきくんですから、わたしは手袋をかけて足浴をしました。

ゆうきくん「学生さん、なんで手袋してるの?」
私「え?」
ゆうきくん「俺ってさ、バイ菌なの?」

何も答えることができませんでした。
この一件以来、私は、根拠のある看護をしようと強く思いました。

看護学校を卒業後も彼と手紙のやり取りをしていました。

入退院を繰り返しながらも、彼は変わらず普通の男の子でした。

「運動会に出られたよ、旅行に行ったよ、ちょっと気になる女の子がいる…」

数年後。

彼のお母さんから、彼が亡くなったと手紙が届きました。

彼は私をいつも“学生さん”と呼んでいたけれど、お母さんの前ではきちんと名前で呼んでくれていたようです。

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