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大切な人の最期・・・『お母さん今までありがとう』

大切な人の最期・・・『お母さん今までありがとう』

『泣かないで、お別れまでは笑顔で』。15話。療養型の病院で働いていた時のお話です。最期を迎える患者さんの看護を幾度となく携わってきましたが、その中でも胸にくる最期でした・・・

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泣かないで、お別れまでは笑顔で
70代女性、山梨さん。脳梗塞後肺炎による全身状態の悪化によるターミナル期。看護師として、療養型の病院で働いていた私はそこで最期を迎える方の看護を幾度となく携わってきました。
急性期でない分徐々に悪くなっていく方が多く、ご家族も時間と共に受け入れていく様子でした。しかし、誰でも大切な人との最期は悲しく辛いものです。
山梨さんは日に日に状態が悪化していました。そのため医師、看護師、家族も相談して決まった医療方針は少しでも苦痛を減らしてあげたいというものでした。
面会は遠方に住む40代の息子さん2人もたびたび来られていました。息子「もう入りにくくなっている点滴は抜いてほしいです...」
この頃は点滴を留置してもすぐに漏れてしまうので腕にはいくつもの点滴跡が刻まれていました。
私「...毎日差し替えて辛いですよね。」
先生「点滴が入らなくなると体に水分が入らないので、脱水症状となり尿も減ってきます。すぐに連絡が取れるようにしていてください。」息子「わかりました。母は...今まで頑張ってきました。よろしくおねがいします。」
それから息子さんたちは、夜も交代で付き添い見守られました。
私「今日はいつもより手が浮腫んでいますね。今血圧が60/38です。血圧も低いので足の下に枕を入れますね。息子さん疲れはでてないですか?」息子「ありがとうございます。」私は状態等のささいなことでも細かに伝えるようにしました。
それから3日後、最期の時が迫ってきていました。山梨さんが息子さんたちに見守られている中でした。私「看護学校の時に習ったんですけどね、人は最後まで耳は聞こえているそうです。最期の最後まで聞こえてるそうです。声をかけてあげてください。」
息子「そうですか。...母さん...ありがとう、ありがとう...」何度も何度も感謝の言葉を告げる二人を見て私は涙がこぼれそうになりましたが、看護師として気丈に振る舞いたくてグッとこらえました。
声かけをすると脈拍が少し回復しましたが、その後また徐々にゆっくり下がっていき、その後は家族に見守られる中お亡くなりになりました。
一時的に脈拍が上がったり、家族が来たら安心して亡くなられる方もいる中で、胸にくる最期でした。
その後、息子さんたちは病棟スタッフに何度も感謝を述べられ山梨さんとともに自宅へ帰宅してゆきました。

【看護師の実話】実習時代にいじめにあっていた私を助けてくれたのは先生でした。

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